FIP=猫伝染性腹膜炎は、猫コロナウイルスの変異によって引き起こされる致死性の高い病気です。1才前後の子猫が感染しやすく、発症すると数日から数ヶ月でほぼ100%が死に至る恐ろしい病気です。感染・発症のくわしいメカニズムが解明されていないため治療法も確立しておらず、長年にわたって不治の病とされてきました。
一般的な症状として発熱、食欲低下・体重減少、元気消失、黄疸(おうだん)、嘔吐・下痢があり、タイプとしてウェットタイプとドライタイプに分かれます。ウェットタイプは腹水や胸水が溜まり、呼吸困難を引き起こします。ドライタイプは肉芽腫(しこり)ができます。
かつては海外で開発された高額な治療薬しかなく、エビデンスもありませんでしたが、近年はヒトの新型コロナウイルスに対する治療薬が有効であることがわかり、良好な治療成績を収めるようになってきたことが報告されています。国内でも積極的に治療に取り組む動物病院が出てきており、当院も2022年より治療に取り組んでおります。治療では、症状に応じて注射薬と内服薬を使い分けます。